私は、トラック荷台において荷の積み降ろし作業中、トラック荷台から転落し、両足を骨折してしまい、現在、入院加療中であり、労災保険より療養補償給付及び休業補償給付を受けております。私は、来月末日で定年退職となりますが、主治医によれば、今月中に退院できるが、仕事の復帰は当分出来ないと言われており、まだしばらくの間、療養・休業が必要となる見込みです。このように、退職後も業務上で被った負傷の療養を行う場合、労災保険給付は受けられるでしょうか。本文へスキップ




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労災保険給付HEADLINE

Q1
  私は、トラック荷台において荷の積み降ろし作業中、トラック荷台から転落し、両足を骨折してしまい、現在、入院加療中であり、労
  災保険より療養補償給付及び休業補償給付を受けております。私は、来月末日で定年退職となりますが、主治医によれば、今月中に退
  院できるが、仕事の復帰は当分出来ないと言われており、まだしばらくの間、療養・休業が必要となる見込みです。このように、退職
  後も業務上で被った負傷の療養を行う場合、労災保険給付は受けられるでしょうか。

A.労働者が業務上の事由により負傷または疾病を被った場合には、災害の性質や、負傷または疾病の程度によっては相当長期間療養しなければならないこともあります。このような場合、当然考えられるのがご質問のような労働者の退職という問題です。労災保険給付が、雇用関係の存在している期間中についてのみ補償され、退職等の理由により雇用関係がなくなった場合は補償されないということになると被災労働者の被った損害の一部しかてん補されないことになります。  例えば、療養補償給付について、退職後は支給されないとなると、業務上の事由により負傷し療養しているのにもかかわらず、その治療を受けられないという不合理なことになります。また、休業補償給付については、定年退職後は当然賃金を受けることができなくなるので、休業損害が生じないため、補償を受けることができないのではないかとの疑問が生じるかも知れません。しかしながら、この保険給付を受ける権利を雇用関係の存在する期間のみ限定することは、休業補償給付が賃金損失に対する補償であるという点からして、不合理なものといえます。なぜなら、負傷していなければ、定年により被災した事業場を退職し、当該事業場から賃金を受けないとしても、他の事業場に再就職し、賃金を得ることもできるからです。以上のように、業務上の事故に対する補償は雇用関係の存続とは別に考えられることになります。  このことは、労働基準法第83条及び労災保険法第12条の5で『補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない』と規定されています。ご質問のように、たとえ、退職の理由により使用者との間に雇用関係がなくなったとしても、支給事由が存在する限り保険給付を受けることができます。

Q2
  先日、当社従業員の甲が営業車で営業活動中に事故を起こしてしまい、入院してしまいました。当社としては、事故の原因が、甲の運
  転の際の無茶なスピードの出し過ぎということもあり、労災の請求を認めたくないのですが、このようなことは可能なのでしょうか。
  また、この場合は業務災害にならないと思うのですが、いかがでしょうか。

A. ご質問では、本人が不注意により、営業活動中事故を起こしたため、労災の請求を認めたくないということですが、結論から先に申し上げますと、会社が被災者の労災保険を請求する権利を制限することはできません。といいますのも、労災保険給付の請求は、通常、被災者本人の意思によってするものであり、その請求に基づいて労働基準監督署長が支給・不支給の決定をするものだからです。  それでは、労災保険給付の請求は被災者の意思であるから、使用者は、申請手続きなどを被災者にすべて行なわせればよいかというと、必ずしもそういうわけでもありません。すなわち、労災保険法施行規則第23条第1項で、『保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続きを行うことが困難である場合には、事業主は、その手続きを行うことができるように助力しなければならない』とされています。ところで、ご質問の災害ですが、業務としての営業活動を行なっている際に、運転していた車両の事故により甲さんは負傷されたわけですから、業務遂行性及び業務起因性が認められるといえ、結局、本件は業務上の災害として認められるものではないかと考えられます。  ただし、労災保険法第12条の2の2においては、災害発生の原因が被災した労働者の故意の犯罪または重大な過失による場合には保険給付の一部が支払われないこととなっています。ご質問の場合、事故の原因が甲さんの運転の際のスピードの出し過ぎによるものとのことですから、保険給付の一部が支払われない可能性があるといえるでしょう。

Q3
  労災保険で、アフターケア制度があると聞いていますが、どのような制度でしょうか。

A.労災保険制度では、業務上災害又は通勤途上災害により被災された方に対して、その方の症状が固定した(治ゆ)後においても、後遺症状に動揺をきたしたり、後遺障害に付随する疾病を発症させるおそれがあることから、必要に応じ予防その他の保険上の措置として『アフターケア』を社会復帰促進等事業として実施しています。  対象傷病として、【せき髄損傷】・【白内障等の眼疾患】・【人工関節・人工骨頭置換】など20傷病があります。アフターケアを受けられる方に対しては、所轄労働局長からあらかじめその傷病に応じた「健康管理手帳」が交付されますので、アフターケアを受けようとする場合には、「健康管理手帳」を労災病院又は労災指定医療機関へ提出することにより、無料で診察、検査、薬剤の支給等の措置を受けることができます。手帳の有効期間についても、対象傷病により2年若しくは3年と定められています。  なお、詳しいことにつきましては最寄りの労働局、労働基準監督署にご相談ください。

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