A.その内容が職場にあったものでなければ、トラブルの元になりかねませんので、労使がよく話し合って職場の実態にあった就業規則を作成する必要があります。以下の点に気をつけて作成して下さい。自社で行われている職場規律や労働条件に関する各種制度や慣行を整理し、就業規則に記載すべき事項を選び出すこと。選び出したことと、労基法で記載しなければならないとされている事項とを照らし合わせ、漏れがないか点検、確認すること。従業員代表に就業規則の(案)を示し、従業員側の意見を十分聴くこと。就業規則の内容は、できるだけ分かりやすくし、かつ誤解を生むようなあいまいな表現にしないこと。
就業規則の作成に際して、従来の取扱を変更するような場合には、従業員に及ぼす影響(不利益)を十分にチェックし、必要に応じて代替措置を講じる等慎重に対応すること。
A.パートタイマーの就業規則を別個に作るときは、パートタイマーを含む全労働者の代表の意見を聴くほか、パートタイマーの過半数を代表する者の意見も聴くように努めてください。
A.行政通達(平6・1・4基発第1号)により「短縮された期間は全期間出勤したものとみなすものであること。」との取扱いがしめされており、これによって算定しなければなりません。設問の場合には入社の4月1日から12月31日までの9ヵ月の実績と残り3ヶ月間(翌年の1月1日から3月31日までの間)は全期間出勤したものとみなして1年間の出勤率を算定することなります。なお、それ以降は基準日ごとの1年間の実績で算定することとなります。
A.年休をいったん与えた以上、年休日の労働者を呼び出すことができないのが原則です。労働者本人が同意している場合には、呼び出して来てもらうこともできますが、その場合は年休を取り消して改めて与えるべきでしょう。
A.休憩は、継続する仕事による疲労を回復させるためのものですから、休憩時間中に電話応対させると、自由に利用できる休憩を与えたことにはなりません。電話番をさせるのであれば、当番制などをとり、その時間は労働時間として別途休憩を与えなければなりません。
A.労基法上、法定労働時間を超えて労働させる場合は、時間外労働となりまた、法定休日に労働させる場合は休日労働となります。時間外労働、休日労働をさせる場合の条件として時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)の締結・届出があること、36協定の成立に加えて就業規則や労働契約に時間外労働や休日労働をさせることができる旨の定めがあることが必要です。36協定については、労基法第36条により従業員の過半数で組織する労働組合(労働組合がないときは、従業員の過半数を代表する者)との間で協定を締結し、労働基準監督署長へ届出なければなりません。36協定は、所轄の労働基準監督署長へ届出てはじめて有効となるわけですから、協定があっても、届出ていなければやはり同法違反となります。
A.未成年者とはいえ、独立した人格として、賃金を請求する権利があります。あくまで労働者本人に支払わなければならず、親権者や後見人が代わって受け取ることはできません(労基法59条)。
A.退職金の請求権の時効は、労基法115条で5年と定められています。なお、退職手当を除く賃金、災害補償その他の請求権の時効は2年と定められています。
A.事業場の解釈としては、昭和47年9月18日発基第91号通達の第2の3「事業場の範囲」で示されています。その中で、労働安全衛生法は、事業場を単位として、その業種・規模等に応じて適用することとしており、事業場の適用範囲は、労動基準法における考え方と同一です。つまり、一つの事業場であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)によって決定すべきであり、同一の場所にあるものは原則として一つの事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とされています。例外としては、場所的に分散しているものであっても規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場という程度の独立性が無いものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱うとされています。また、同一の場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門がある場合には、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることにより労働安全衛生法がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえることとしています。この例としては、工場の診療所などがあげられます。なお、事業場の業種の区分については、「その業態によって個別に決するもの」とされており、事業場ごとに業種を判断することになります。例えば、製鉄所は「製造業」とされますが、その経営や人事の管理をもっぱらおこなっている本社は「その他の事業」ということになります。
A.安衛法上の労働者は、労基法の労働者と同一の概念です。 また、同居の親族のみを使用する事業場には、労基法と同様、安衛法も適用されません。(クレーンの運転等の資格関係を除きます)
ただし、他人を1人でも使用すれば適用になりますし、適用がない場合でも、職場の安全衛生に関わることですから、安衛法が規定する事項について十分留意することが大切でしょう。
A.労働者が業務上の事由により負傷または疾病を被った場合には、災害の性質や、負傷または疾病の程度によっては相当長期間療養しなければならないこともあります。このような場合、当然考えられるのがご質問のような労働者の退職という問題です。労災保険給付が、雇用関係の存在している期間中についてのみ補償され、退職等の理由により雇用関係がなくなった場合は補償されないということになると被災労働者の被った損害の一部しかてん補されないことになります。
例えば、療養補償給付について、退職後は支給されないとなると、業務上の事由により負傷し療養しているのにもかかわらず、その治療を受けられないという不合理なことになります。また、休業補償給付については、定年退職後は当然賃金を受けることができなくなるので、休業損害が生じないため、補償を受けることができないのではないかとの疑問が生じるかも知れません。しかしながら、この保険給付を受ける権利を雇用関係の存在する期間のみ限定することは、休業補償給付が賃金損失に対する補償であるという点からして、不合理なものといえます。なぜなら、負傷していなければ、定年により被災した事業場を退職し、当該事業場から賃金を受けないとしても、他の事業場に再就職し、賃金を得ることもできるからです。以上のように、業務上の事故に対する補償は雇用関係の存続とは別に考えられることになります。
このことは、労働基準法第83条及び労災保険法第12条の5で『補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない』と規定されています。ご質問のように、たとえ、退職の理由により使用者との間に雇用関係がなくなったとしても、支給事由が存在する限り保険給付を受けることができます。
A.ご質問では、本人が不注意により、営業活動中事故を起こしたため、労災の請求を認めたくないということですが、結論から先に申し上げますと、会社が被災者の労災保険を請求する権利を制限することはできません。といいますのも、労災保険給付の請求は、通常、被災者本人の意思によってするものであり、その請求に基づいて労働基準監督署長が支給・不支給の決定をするものだからです。
それでは、労災保険給付の請求は被災者の意思であるから、使用者は、申請手続きなどを被災者にすべて行なわせればよいかというと、必ずしもそういうわけでもありません。すなわち、労災保険法施行規則第23条第1項で、『保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続きを行うことが困難である場合には、事業主は、その手続きを行うことができるように助力しなければならない』とされています。ところで、ご質問の災害ですが、業務としての営業活動を行なっている際に、運転していた車両の事故により甲さんは負傷されたわけですから、業務遂行性及び業務起因性が認められるといえ、結局、本件は業務上の災害として認められるものではないかと考えられます。
ただし、労災保険法第12条の2の2においては、災害発生の原因が被災した労働者の故意の犯罪または重大な過失による場合には保険給付の一部が支払われないこととなっています。ご質問の場合、事故の原因が甲さんの運転の際のスピードの出し過ぎによるものとのことですから、保険給付の一部が支払われない可能性があるといえるでしょう。
A.割増賃金の算定基礎には、家族手当、住宅手当等算定基礎から除外できる賃金(7項目)以外は全て算入しなくてはなりません。定額残業手当はこのいずれにも該当しませんが、就業規則等により時間外労働に対する手当であることが明記され、実際に行われた時間外労働に対し、当該手当の額が法定額を下回った場合にその差額を支払うこととされていれば、労働基準法上の時間外労働手当であり、労働基準法第37条第1項が定める「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上」の「通常の労働時間の賃金」には該当しませんので、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくてもよいことになります。
A. ご質問の控除は、法律に基づく支払賃金からの控除ではありません。したがって、社宅料や購買代金等について行われる控除と同様に、労働基準法第24条第1項との関係で、まず預入等にかかる金銭についての賃金控除協定を労使間で締結する必要があります。この協定は、財形貯蓄を取り扱おうとする事業場において、その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合と、ないときは労働者の過半数を代表する者と事業主とが書面により行うものです。なお、このようにして締結された協定そのものは、賃金から控除しても労働基準法違反にならないという効果しかありません。したがって、さらに、実際に財形貯蓄を行おうとする労働者と事業主とが取扱金融機関、預入等の時期、金額等について取決めを行う必要があります。
A. 年俸制は本来労働時間に関係なく、労働者の成果・業績に応じて賃金額を決定しようとする賃金制度です。しかしながら、労働基準法では労働時間の長さをとらえて規制をしていますので、年俸制を導入した場合にも、実際の労働時間が法定労働時間を超えれば、時間外手当を支払わなければならないことになります。
ただし、労働基準法では、管理監督者、機密事務取扱者については、労働時間に関する規制がありませんので、労働時間が法定時間を超えても割増賃金を支払う必要はないとされています。また、裁量労働制などのみなし労働時間制の場合には、実際の労働時間に関係なく、みなし時間に応じた年俸が設定されていればよいことになります。
年俸制は労働時間とそれに応じた賃金という制度となじまないものですから、年俸制を適用する労働者は上記の二つに該当する職種が適切であると思われます。一般職員に年俸制を適用することは不可能ではありませんが、年俸制を適用する場合、実際の労働時間が法定労働時間を超えれば、時間外手当を支払わなければなりません。
なお、割増賃金の支払を必要としない労働者であっても、労働時間の把握はする必要がありますので留意してください。
A. 年俸制は賃金に関する制度として労働契約の中で重要な要素ですから、会社側が一方的に制度を導入すべきではなく、基本的には対象労働者個々人の同意を前提として導入すべきものと考えられます。
しかし、個別の同意の有無にかかわらず事業場として統一的に制度を導入する場合には、労働組合や個々の従業員と話し合いの上、就業規則を改正して導入するということが考えられます。その場合には、当然のことながら就業規則の不利益変更一般の問題と同様に改正内容が合理的であることが必要となりますし、また、年俸制は賃金制度の一形態ですから通常の就業規則の変更と同様に労働基準法に定める就業規則変更の手続きを取らなければなりません。さらに、変更後の就業規則について労働者への周知が必要になります。
A. 労働保険事務組合(以下「事務組合」と言います。)とは中小事業主の団体が国の認可を受けて、労働保険に関する事務手続等を行うものをいい、事業主の委託を受けて労働保険料の納付や各種手続を行います。
A. ハローワーク(公共職業安定所)、労働基準監督署に「労働保険事務組合名簿」を用意してありますので、ご参照ください。
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